この治療法は、理化学研究所の研究成果を基に株式会社理研免疫再生医学が実用化したもので、体内のNKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)を活性化させて免疫系全体を動員し、がん細胞を包括的に攻撃する仕組みです。
がん種や部位、進行度を問わず適応が可能であり、自身の細胞を使用するため副作用が極めて少なく、従来の治療法では困難だった長期的な免疫記憶の形成があり、臨床試験では肺がんの生存期間の延長や、頭頚部がんの抗腫瘍効果がみられ、標準治療との併用も可能という特徴を持っています。
- 適応疾患
- ・すべてのがん疾患(一部の白血病、一部の悪性リンパ腫を除く)
・がんリスクの抑制を目的とする方(転移再発を含む)
理化学研究所の研究成果に基づいた、「第4世代」のがん免疫療法
当院では、理化学研究所(理研)の研究成果に基づいた「NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)」を提供しています。
この治療は、単にがんを攻撃する免疫細胞を増やすだけの従来の免疫療法とは異なり、体内の免疫システム全体を再構築し、がん細胞への持続的な攻撃を誘導する「第4世代」のがん免疫療法です。
NKT細胞標的治療の仕組み
■ 活性化したNKT細胞が引き起こす、がんに対する免疫連鎖反応(免疫カスケード)
NKT細胞の最大の特徴は、がん細胞を攻撃するだけではなく、免疫システム全体のリーダーとして機能する点にあります。
従来の免疫療法の多くは、NK細胞やキラーT細胞といった特定の免疫細胞を体外で増やして戻す手法でした。しかし、これらは短期間で寿命を迎えることが課題でした。
NKT細胞標的治療は、免疫システム全体のリーダー役である「NKT細胞」を、理研が開発した特許技術によって強力に活性化し、がんに対する免疫連鎖反応「免疫カスケード」を引き起こします。
■ 大量のインターフェロン・ガンマ(IFN-γ)の産生、複数の免疫細胞を一斉に活性化
アルファ・ガラクトシルセラミドによって加工された樹状細胞が投与されると、体内のNKT細胞が強力に活性化され、わずかな時間で大量のインターフェロン・ガンマ(IFN-γ)を産生します。
このIFN-γが免疫連鎖反応のアジュバントとなり、自然免疫であるNK細胞やマクロファージ、獲得免疫であるキラーT細胞やB細胞などの免疫細胞を一斉に増殖・活性化し、がん細胞を攻撃します。自然免疫と獲得免疫の両方を同時に活性化できるのは、NKT細胞のみが持つ能力です。

■ 「長期免疫記憶」による、持続的な抗腫瘍効果
従来の免疫療法(NK細胞療法、T細胞療法など)では、体外で増やして戻した細胞が数日から1週間程度で寿命を迎えてしまうため、頻繁な投与が必要でした。
この治療は、体内のNKT細胞を直接活性化し、「免疫記憶幹細胞」へと誘導します。これにより、一度の治療で体内にがんへの攻撃指令が長期間記憶されます。 動物実験においては、1回の治療で9ヶ月以上にわたって免疫記憶が保持されることが確認されており、この「長期免疫記憶」によって、がんの再発や転移を長期にわたって自律的に抑え込み続けることが期待されています。
■ ほぼ全てのがんに対応、白血球の型(HLA)に関係なし
従来の免疫療法(T細胞療法など)は、白血球の型である「HLA型」が一致しなければ効果を発揮できず、さらに特定のがん抗原を標的とするため、適応となる患者様が限定されるという課題がありました。
これに対し、NKT細胞は「CD1d」という全ての人が共通して持っている分子を介して活性化されます。このCD1d分子は、がんの種類を問わず多くの固形がんに発現しているため、この治療は患者様のHLA型を問わず、ほぼ全ての固形がんを治療対象とすることが可能です。
また、がん細胞が変異して特定の抗原を隠してしまった場合(免疫逃避)でも、NKT細胞はそれを見逃さずに対応できる柔軟性を持っています。
■ がんによる免疫抑制の解除、免疫細胞が攻撃力を発揮する環境へ
がん細胞は、自身の周囲に免疫細胞の働きを封じ込める「免疫抑制環境」を作り出しています。この治療はこの「ブレーキ」がかかった免疫抑制状態を解除(再プログラミング)し、免疫細胞が本来の攻撃力を発揮できる環境(Th1型免疫環境)へと改善します。 さらに、がん細胞が栄養を得るために作り出す「新生血管」の形成を阻害することで、がんの増殖を物理的にも抑制します。
■ 標準治療との併用可能
標準治療の手術、放射線治療、抗がん剤、分子標的薬と並行して行うことが可能です。抗がん剤によってがん細胞が破壊される際に放出されるがん抗原を樹状細胞が認識することで、キラーT細胞の相乗効果も期待されます。治療スケジュールは現在受けている治療に合わせて調整可能です。
科学的根拠(エビデンス)に基づく治療
この治療は、国立大学病院などで先進医療Bとして行われた臨床試験においてその有効性が示唆されています。
■ 進行性肺がんの例、標準治療より生存期間の延長
標準的な化学療法後の生存期間の中央値が約10ヶ月とされる中、この治療によってIFN-γ産生量が多い患者群では、31.9ヶ月に達したという研究結果が報告されています。
下の図は進行・再発した肺癌17人に対して行われた臨床試験です。この17人は手術や抗がん剤などの治療が終了しており、想定される生存期間の中央値は約4.6ヵ月とわかります。分子標的薬を使った例でも想定される生存期間は6.7から13.1ヵ月です。
しかしNKT細胞標的治療を行った17人は18.6ヵ月と長く、その中でもIFN-γ産生量が多い免疫細胞が特に活性化した10人は31.9ヵ月でした。抗がん剤治療と比べると生存期間が約6.9倍に延長しています。

■ 頭頸部がんの例、全例で抗腫瘍効果
第2相臨床試験において、全症例で有効性(縮小または不変)が確認されています。
下の図は頭頚部がん10人に対して行われた臨床試験です。この10人中の5人はNKT細胞標的治療によって腫瘍が縮小(PR)しています。また残りの5人は腫瘍の大きさが不変(SD)で増大していません。

参考文献:臨床外科68(8)908-914 2013
体質や病状によって効果に個人差が生じます。期待する効果が十分得られない場合があります。
すべてのがん腫で効果が検証された治療法ではありません。
近年開発された治療法であり現在も有効性についての検証がつづけられています。
NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)まとめ
理研免疫再生医学のがんの免疫療法です。
強い抗腫瘍効果を持つNKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)を体内で活性化する免疫療法。
採血して培養した樹状細胞にNKTを活性化する免疫活性化物質を結合させ体内へ戻します。
体内のNKT細胞を活性化し、
活性化されたNKT細胞による直接的な抗腫瘍効果に加え、
自然免疫を活性化し、NK細胞による抗腫瘍効果や
獲得免疫を活性化し、T細胞による抗腫瘍効果を発揮します。
また、がんによる免疫抑制を制御します。
それらの反応が長期間持続する特徴を持ちます。
がん治療やがんリスクを抑える(術後の転移再発を含む)目的で行います。
外来通院で治療が可能です。入院の必要はありません。

副作用
ご自身の細胞を使用するため、強い副作用はみられません。
発熱、倦怠感、注射部位の腫れなどが一過性にみられることがあります。
発熱は38度未満で2日以内に解熱する軽微なものです。
ごくまれにアレルギー様の症状が一過性にみられることがあります。
治療の流れ
1、がん治療相談をご予約ください。NKT細胞標的治療・RIKEN-NKT®についてご説明します。
2、治療ご希望の場合は、事前の血液検査を行います。1週間以内に結果が出ます。
3、事前の血液検査で問題がなければ、細胞培養のための成分採血あるいは全血採血を行います。
4、細胞培養施設で培養が行われ、NKT細胞を活性化するRIKEN-NKT®が作られます。
5、培養にかかる期間は約2週間です。
6、免疫細胞を皮下注射で体内に戻します。
7、通常、治療は2週間ごとに4回行います。
8、4回の治療が1クールになります。
9、治療終了後は定期的な経過観察を行います。
費用
- 成分採血・培養・治療1クール: 3,481,500円(税込)
- 全血採血・培養・治療1クール: 1,816,100円(税込)
- 医師との治療に係る相談・面談の費用: 11,000円(税込)
- 治療前の血液検査の費用: 33,000円(税込)
参考サイト
理研免疫再生医学 https://riken-irm.com/
NKT細胞とは・理研免疫再生医学 https://riken-irm.com/nkt.html
RIKEN-NKT®とは・理研免疫再生医学 https://riken-irm.com/occasion.html



